小説

歴史はifを想像できるから面白い

私は学生時代から歴史、とりわけドイツを中心とした欧州史が大好きです。
大学もドイツ文学科に進み、歴史の授業だけは熱心に受講しまくっていました。

そんな大学生の時に出会った小説が、

後藤均 「グーテンベルクの黄昏」

主人公は第二次世界大戦直前にパリに渡った画家。
彼は日本人が欧州で不審死を遂げた事件の調査を命じられ、そこから欧州を舞台にあちこち飛び回ります。
そこで彼はドイツが抱える大きな秘密を知ることになる…というもの。

この秘密と言うのがなかなか壮大と言うか、ありそうなところがこの作品の醍醐味かな、と。
そもそもナチスドイツ自体が、いろいろ秘密やら都市伝説めいたものやらを持っているので、調べるほど面白い題材でもあります。有名なハーケンクロイツの由来一つ調べるだけでも、論文一本書けそうです(実際ゼミでやってみようと思いましたが、語学力・資料の不足でかないませんでしたが)。

また、第二次世界大戦を欧州で経験した日本人としての視点が描かれているのも特徴の一つ。
主人公は大戦前からパリの空気を吸って過ごしていたため、本来なら敵国であるフランス人のほうにどうしても感情移入してしまう。でも外国の地ではやはり自分は日本人なのだということも痛感し、祖国である日本の行く末も案ぜられる。こういった視点の小説はあまり読んだことがなかったので、新鮮な気持ちでした。 

こういった歴史ものを読むと、歴史とは選択一つで大きく変わるものであり、逆に別の選択をしていたらこんな未来もありえたのだろうかと想像できるところがとても面白いです。

歴史は暗記物だから苦手・嫌いという人もいますが、それはあくまで日本の試験に限っての話です。
歴史から学ぶことはこれからを生きていくうえで、一番必要な教養だと思うのです。

久しぶりにこの小説を読みながら、そんなことをつらつら考えてしまいました。 

映像化できないであろうミステリー

今、前田敦子と松田翔平主演で映画「イニシエーションラブ」が公開されています。
「あなたは絶対騙される」というキャッチコピーが気になり、見てみようかと思ったのですが、たまたま文庫担当の方が他のスタッフに絶賛ネタばれをしており、それを聞いてから行く気がなくなりました…。
具体的には書きませんが、その手の騙しというか手法って他の作品でも結構使われているんですよね。
 
騙すというか究極のどんでん返し!と銘打った作品は数多くありますが、私が心の底からやられた!!!と思った作品が一つだけあります。

それが、浦賀和宏氏の「彼女は存在しない」。

香奈子という女性と根本という男性、ふたりの物語が交互に綴られる形式をとっています。
そのふたりが数々の事件によって結び付けられ、出会った果ての結末 というのがとにかく悲痛。
これはほぼ最後まで構図がわかりませんでした。
途中で分かった人がいたら素直にすごいと言える作品です。
 
この方のその後の作品である「彼女の~」シリーズ(上記の作品とは連動していません) も、最後の最後に襲い掛かってくるどんでん返しの連続がすごいです。

でも、この作品こそ映像化は絶対できないだろうなぁと思っています。
小説だからこそできる表現手法を駆使している作品なので。 
マンガの実写化もあまり好きではないですが、個人的にはこういった作品の実写化 もあまり推奨はしないです…。
ギャラリー
  • 嫌われ女子の理由に納得
  • 私の一番好きな漫画家さん
  • 私の一番好きな漫画家さん
  • 私の一番好きな漫画家さん
  • 書店員は結構大変なんです。
  • 書店員は結構大変なんです。
  • 書店員は結構大変なんです。
アーカイブ
  • ライブドアブログ